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「南京路(ロード)に花吹雪」を語ろう!

オススメマンガ ベスト1

森川久美さん。私が一番好きな漫画家さんです。
大好きな作品はそれこそいっぱいあるんですが、やはり何といっても「蘇州夜曲」〜「南京路に花吹雪」〜「上海1945」と続く上海シリーズですね。これが、私のオススメマンガのベスト1!
こんなすばらしい作品に出会えた幸せ! ほんとにもう、言葉では言い尽くせません。
主人公が男性である、といってJ〇NEものでは決してない、恋愛はあるにはあるがそれがテーマではない、といった点から見ても、従来の少女マンガという範疇には収まりきらない作品でしょう。
なにせ舞台が、昭和初期の中国で「魔都」と呼ばれた上海。ドロ沼の日中戦争へとひた走る暗〜い時代です。
主人公は、時の政府高官を批判して上海に飛ばされた熱血新聞記者本郷義明と、日本人と中国人の混血という重い現実を背負って生きる謎の美少年黄子満(ワン・ツーマン)の二人。
自分に正直に生きようとすればするほど、自分の信じるものを見つめれば見つめるほど、正義とか平和とかいった観念は混沌の中へ沈んでいき……。
相手の立場や思いがわかっているからこそ、お互いに好きだからこそ、別々の道を歩まなければならない二人。歴史の大きな潮流の中で、どうすることもできず、抗いながらも流されていくしかない人間の悲しみに涙いたしました。

シリーズ第1作の「蘇州夜曲」は、森川さんお得意の、ちょっと大人っぽい味付けのラブサスペンスといった趣です。
挫折感を抱いて上海に渡った本郷が、謎の美少年黄子満(ワン)や憂いを秘めた酒場の歌姫白系ロシア人の上海リリィ(実は盗賊の首領チャイナクイーン!)と出会い、やがて大きな陰謀に巻き込まれて……という展開。その中で徐々に、黄やリリィの過去と、悲しい宿命が明らかになっていきます。
風呂敷を広げすぎたわりには、最後のクライマックスの活劇は何となく物足りない気もしますが、最初に読んだときは「これは絶対少年マンガだ!」と思ってしまいました。
テーマやプロットは限りなく少年マンガなのに、絵と語り口はまぎれもなく少女マンガそのもの。なんともいえず不思議な雰囲気を持った作品だといえるでしょう。

さて、シリーズ第2作の「南京路に花吹雪」
これこそ文字どおり、森川さんの代表作といっていいのではないでしょうか。
本郷さんに、黄に、また会える――それだけでも感激だったけど、ストーリーはますます深くシリアスにスケールアップ!
もう、前作のようなおしゃれな雰囲気も、ほっとするような息抜きの場面もありません。ひたすら時代の波に、一人の力ではどうすることもできないという残酷な現実に、追い詰められていく主人公たち。
やがて本郷と黄の立場も微妙に食い違っていきます。
二人がそれぞれに、遠くから相手のことを見つめている、というシーンがたびたび出てきます。モノローグでなら自分の気持ちを素直に出せるのに、言葉にして相手に伝えることができない。こんなに心はいっぱいなのに……。
お互いに分かり合っていながら、なぜ、それだけじゃダメなの?一緒に歩いていけないの?
読んでいるこちらの胸が苦しくなるほど、とても悲しいシーンでした。
主役の二人以外にも、登場するキャラがみんなとても丁寧に生き生きと描かれていて、彼ら一人ひとりの孤独、焦燥、やるせなさといったものに、思い切り感情移入しまくりでした。
さて、この作品で、本郷と黄の二人の物語は一応の完結を迎えます。
シリーズ最後の「上海1945」には、残念ながら黄は登場しません。
時代はさらに下って、日中戦争もいよいよ最終局面に突入していきます。

いよいよシリーズ第3作の「上海1945」
ここで語られるのは、黄が消えた後もひとり上海に残り、いよいよ日本の敗色が深まる中、孤独な戦いを続ける本郷さんの物語。そして、本郷と中国人女性蔡文姫(ツァー・ウェンチー)の恋の行方です。
コミックスのカバーには「ヒューマン・ラブストーリー」の文字が。そうか、これってラブ・ストーリーだったのか(笑)。
たしかに前2作とちがい、本郷さんと蔡文姫の二人の思いが、テーマの重要な部分を占めていますね。
お互いに相手を大切に思いながら、相手の立場を思いやるゆえに、自分の心に素直になれない二人。これって、相手が蔡に代わっているだけで、黄の時とまったく同じパターンじゃないですか。
それにしても、やっぱり貧乏くじを引いてしまい、しかもまたまた陰謀に巻き込まれる本郷さん。つくづく、ついてない人です。それもまあ、まっすぐで自分に嘘のつけない性格ゆえの世渡りの悪さでしょうか。
そんな本郷さんの「不器用さ」がとても好きなのですけれど。

以上、森川久美さんの上海シリーズ。
分量的にはそれほど多くない(コミックス全部で7巻)ものの、内容の深さ、テーマの重さ、読み終わった後にズシリとくる、非常に重厚な作品です。
登場人物の一人ひとりに、ほんの脇役的な人物にいたるまで、しっかりとした存在感があって、気持ちよく感情移入できる傑作でした。
ほんとにもう、何度これを読んで泣いたことでしょう。本館の「お気に入り」にも、もちろん取り上げましたよ。
「人間、理屈で生きられたら苦労はしないよな〜」というのが、このシリーズのテーマであるような気がします(乱暴な意見ですみません)。
いくら頭でわかっていても、その通りに行動できない。自分に正直に生きようとすればするほど、心も体も傷ついてしまう。わかっていながら、貧乏くじを引いてしまう。
そんな、まっすぐであるがゆえに不器用な生き方しかできない主人公が、たまらなく好き。
もう、古本屋でしか入手できなくなってしまいましたが、ぜひ読んでみていただきたい名作です。
私的には、(★★★★★)満点×10乗 くらいつけたいほど(笑)。

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Comment

南京路に花吹雪のシリーズ最高ですよね。周りについつい押し付けまくってます。でもしょうがない面白いんだから。あんなに血沸き肉踊る感覚を味わえる作品ってありませんよね。やっぱりビシバシとリアリティーが伝わってくるせいでしょうか?
ジェスフィールド76号や鄭蘋如(テンピンルー)をネットでチェックしてるんですが、いいサイトがありましたら教えていただけると嬉しいです。

| | 2010/07/30 7:19 PM |

初めまして。こんな辺境ブログへようこそ。
森川久美さんの上海シリーズ、ほんとに大好きです。
とても面白くて、そして切なくて悲しくて…。
恥ずかしながら、ジェスフィールド76号や鄭蘋如については何も知りませんでした。今回、書き込んでくださったコメントではじめて知り、改めてネットでぐぐってみた次第です。
へえ〜、そうなんですか。
これが本郷さんや黄のモデルなんですね。(^^)
さらに、トニー・レオン主演の「ラスト・コーション」が史実をもとにした作品だということも知りまして、ちょっと興味が出てきました。

こんな古い記事を検索して読んでくださり、コメントまでつけていただいて恐縮です。
こちらのブログは引越しして今は休眠状態ですが、また新しいブログやサイトの方にもぜひお越しくださいませ。
ありがとうございました。

| 千華 | 2010/08/01 7:47 AM |

管理者の承認待ちコメントです。

| - | 2016/11/04 10:13 AM |

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